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BGM PLAYSTOP
雨が降るといいのに……

その呟きはとても
か細くて

その意味合いを
つかみかねたっけ


あの時は、そう……

最初は背中で聞いた
彼女の声が

さめた
アメリカンを口に含む
その一瞬にだけ

よみがえる
窓越しに

行き交う足音が
聞こえてくるよう

広く大きな
その窓が

毎朝、あたしが通う
その理由

温かいレティを
口に含むと

その甘酸っぱい刺激が

少しだけ
あたしを欲張りにさせるの
あれ?

視線だけで、見せた
微かな戸惑いを

あたしは見逃さなかった

お気に入りのテーブルは
いつも同じ

頬を指で掻きながら
カウンターを横切る
あなたの

苦笑い

気付いたかな?

あなたが来るたびに
手に取るその雑誌

ラックをカウンターの
近くに変えたのが

あたしだって
あらやだ……

どうしたんだろ?
お客さん

さっきから
大きなアクビばかりしてる

トントン……

軽く指先であたしの肩をたたく
マスターの悪戯っぽい苦笑い

今でも思い出す……

ピクンとして

お代わりのコーヒーの
あまりの濃さに
目を白黒させた

あのときの

あなたの
驚きようっていったら……
海沿いにはしる国道の
脇に佇む小さな喫茶店

窓は開いているのね

遠くの
カモメの声が聞こえてくる

注文もしないのにやってきた
澄んだアイスコーヒーは

小さな奇跡の味がした

カウンターには品のいい
婦人がひとり

丁寧に笑みを返すのが
苦痛じゃなくて

素直なあたしに驚きもした
どうしても
教えてくれなかった
あなたの

秘密の場所
こっそり見つけた

壁に掛かった沢山の
フォトフレームの幾つかは

照れ屋なあなたの心を映す窓

気さくなウエイトレスが
教えてくれた

最初に飾った写真と
あたしを呼ばないその理由

顔を真っ赤にして
照れ隠しにオーレを頼んだ

あたし……
鼻先くすぐる

カフェの香の魔法が
穏やかに働いて

陽射しの
明るさを感じながら

今日、二度目の
目覚めを迎える

そんな贅沢なことを
ふと考えてしまう
弾む気持ちを
少しの間

ティーカップの上に
漂わせた

昼下がりのCafe

もう少し
もう少しだけ

そう言い聞かして

落ち着いた大人の香で
私をなだめた

アールグレイ
角砂糖の数で
占ってみる

あなたの気持ち

まるでほどけるように
溶けていく

ティーカップと
あたしの心に

軽い仕草で
まわすスプーンが

くすぐったい
髭面の

とぼけた店主はなぜか
近所のおばさんと仲がいい

今日もカウンター越しに
何やらお喋り中

この忙しいというのに

おかげで上手くなったわ
ドリップのタイミング

ところで
何の話をしてたのかしら

え、モツ煮込み作り方?

いったいそれを

どうするつもりなの
喫茶「Flow Lights」
いらっしゃいませっ!
ここは、いわゆる詩の投稿掲示板です。
あなたの言葉を残していって下さいな。

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No:27-0 Title:薫り
From:taaho Wrote:2003/08/26 00:00 ID:AAAA0000[none]

切なさに酔いたいときもある
儚さに涙したいときもある
そんなとき聴きたくなる音がある

カウベルの音
そこには、わたしの時間がある
大切な大切なわたしの時間が

ドアの中にいるわたしは本当の自分なんだろうか
わからなくなる
わたしのからだが、ココロを離れ
わたしのココロが、体を離れる

今日はどんな琥珀を香ろうか
思いでの香り
涙の香り
それとも、明日の香り

さあ、これを飲み終えたら
わたしはドアの外



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