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TOP>小説おき場>The Night Tail Story>泉のノルン - Tales of Misaki

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【泉のノルン - Tales of Misaki】
 世界樹たるユグドラシルの麓。そこには人の運命を司るといわれる女神、ノルンの3姉妹がウルドの泉を護りながら、人の運命の糸を紡いでいるという。
 そこに、1人の娘が訪れた……


泉のノルン - Tales of Misaki

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 後悔なんかしてない。
 たとえ、何回生まれ変わったとしても……きっと同じことをしたに違いないのだから。


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--プロローグ


……ユグドラシルをさわ立てる、世界を渡る風でさえ、その沈黙なるを尊み、凪なるを潔しとする。
 ウルドの泉に漣がたつことなぞ、そうそうあることではなかったに違いないのだ。

「あらっ?」
「どうしたんだい、ベル?」

 泉の守であるノルンの長姉であるウルドが、怪訝そうにな声をあげた妹を問いただした。と同時に、その妹の見やる先が、泉に音もなく広がるか細い波紋であることに、彼女も
また小さな驚きの声をもらした。

「珍しいこと……

 その後を次ぐように、もうひとりの泉の守が言葉を重ねた。

「本当ね。最近はヴァルキューレからの頼まれ仕事が日に日に増えて、……あらやだ、もうこんな刻。面倒事は勘弁して欲しいものだわ」

……おや?

「帰ってきてたのかい、スクルド」

 その話のヴァルキューレのもとへ届けものをしてきたばかりの末妹は、このところとみにそうなのだが、不気嫌そうにしていることが多い。
 その資格を得、転生を果たす勇者のために、新しく紡ぎだした運命の糸とそのための紡錘を用意するのは、彼女にとって誉ともいうベき仕事ではあった。しかし、彼女が見るにそれに値するような糸は、いや彩り濃く深みのある運命は、めったにお目にかかれないことが、彼女をしてやや厭世的な物言いをさせる要因ともなっていたのだ。

 その漣は、時ならぬ来訪を告げるものだった。そしてそれが3姉妹の招く客(まろうど)であったはずもないのだから。
 しかし、運命を司どるノルンの三姉妹のもとへ単身足を運んできたのだ。それだけで、いやその勇気と決意には敬意を払う価値はあろう。波紋が誘う客人を見やる。

 いずれ、波紋の泉に吸い込まれるのと時を同じくして、その者は水のほとりに在った。漣の最初から、沈黙をもって待つべルダンディーの目の前、腕(かいな)の届くそこに……


「こちらにいらっしゃいな、小さき人の子よ。足元が濡れてしまってますよ。それに……

 べルダンディーは招き手を差し出して彼女に話しかけた。

「この刻、泉の水はとても冷たいわ。決して、その名の主と同じく、と言うわけじゃないんだけどね」
「ベル、言うに事欠いてあらぬ事を吹き込むんじゃないよ」

 すかさず、ウルドが割って入った。無論、長姉ゆえに泉と同じ名を与えられた自分の誉を、この心優しい妹が揶揄しているはずがない事ぐらい、承知はしていたのだが。

「足元は、大丈夫です……何も、履いてはいませんから」

 凛としてよく通る声だった。地上に住まう人として、雲上人にも等しいノルンの3姉妹を前に、深々と頭を下げて礼を返したのは、ひとりの、娘といっていい齢の女だった。

「それより、人の世の運命を司どる偉大なノルンの御前に、このようなみすぼらしい姿で来てしまったことを、まずはお詫び申し上げねばなりません」

 見れば、確かに客人である娘は素足のままで、身にまとうローブも、決して豪奢といえるような代物ではなかった。しかし、人ならぬ神の目には、その魂の高貴なるをこそ価値を見出すものであり、何より娘の言いようは礼において申し分なく、気難しいことで知られるウルドでさえ、好意を持つに足るものであった。

(人の子にしてはよくできた娘ね)

 べルダンディーに招かれ、噂に聞くユグドラシルと思しき大樹の麓まで歩を進めた時、娘は自分がノルンの3姉妹に囲まれていることを知った。
 まったくもって、畏怖を覚えてしかるべき状況なのだろう。人の身で彼女たちに逆らう者なぞ、あるはずもない。とりわけ長姉たるウルドは、人の運命を紡ぐとともに、それを裁ち切るベき役割を与えられていたのだから。

 やや緊張した面持ちで、だがしかし強張った風でもない。すらりと伸びた背筋は、怖気づいた雰囲気は皆無で、うわつくでもなくうつむくでもなく、3姉妹を正視する目は、決意の既に込められた故の平穏を保っていた。

 長姉への礼節に即して、ゆるやかに流れた視線はウルドを前にして止まった。

「では聞きこうか、小さき人の子よ。何ゆえ、我らノルンの元へ詣で参った? 人の運命の司どるのが我らの仕事とはいえ、できる事は限られておるぞ。まして……
 それらとて、人の本意に適うものばかりとは言えぬのだが」

 ウルドにして、表情にこそ出しはしなかったものの、二人の妹たちが驚くに充分すぎる程の好意を示した言いようではあった。無論、一度紡ぎ出した運命を変える事なぞ、大神オーディンですら許されぬ禁忌。ノルンに委ねられたことと言えば、新しい糸を紡ぐことと、それを巻きとること。そして、ウルドの役割である、運命を裁ちきることぐらいであった。

 しかし、娘の表情は穏やかで、深く頭を下げ、静かに言葉を発した。

「ウルド様の御手を煩わせることを、願わくはお許し頂きたく存じます」

「!」


 3姉妹に小さな驚きのため息が、その後に続く沈黙に先立って流れた。

 これまで、幾多の障害を退け、彼女らの前に現れた人間が、まったく居なかったわけではない。しかし、多くの場合、その望みは人の醜い欲望や、ひどく闇に沈んだ恨みを彼女らの力をもって成し遂げようという輩ばかりだった。

「あたし自身の、運命の終焉と……願わくば新しい運命を」

「よかろう」
「ま、まって、ウルド姉さん」

 もとより、運命の糸を裁ちきるのはウルドの本来の役どころだった。それを止めるべルダンディーは、しばし娘を凝視し、そして翻意を促す言葉を探した。

「無駄よ、ベル姉さん。この子の決意はオリデオコンよりも硬いわ。目を見れば、あたしには判る」

 心優しい姉の心情を察してか、スクルドの言い放つようなセリフは、一見冷たくは聞こえた。

「でも……、たとえ新しい糸を紡いだとしても、それまでのすベての記憶を引き継ぐことはできません。家族や恋人との大切な思い出すら失ってしまうのですよ」

 その資格を得て、ヴァルキューレのもとで転生を果たした者のみが、前生の記憶を引き継く事ができる。その上で、魂のみをより高位の段階へ引き上げるのだ。

 もとより、娘はその事を十二分に知っていた。覚悟も、いささかも揺らぐことはない。
 娘が今浮かべている微かな笑みは、自分を気使う、どこか自分自身にも似た雰囲気を持つ女神に対する謝意の表れでもあったのだろうか。

「はい、その覚悟はできていますので」

 内に、謝意を込め、しかし決して「ありがとう」などという世俗な言葉は使わず、娘が一瞬、ベルダンディに視線を向け、しばしとどめてから答えた。

「仕方、ないのですね」

 人の運命において、その現在を司る女神であるところの任を負うノルンの次女は、決して人の世のあずかり知らぬ不思議な神の理によって、その両手にひとつの紡錘を出現させた。いうなれば、それが目前の娘のこれまでの運命であり、紡がれた糸は娘の人生を彩る色彩で、その光を放っていた。

「まぁ」

 姉たちの叱責は、後で確実に被ることになるわけだが、女神らしからぬ無作法で、末妹のスクルドが感嘆の声を漏らした。

「ふむ、よく紡げておる。柔らかい色彩は、おまえの人生がいかに多くに大切にされてきたかを物語っているようだ」

 ウルドでさえ、自らの手でそれを裁ち切るのをためらうかのような言動を見せた。しかし、今に至ってこの娘の翻意を促すのはかえって娘を貶めることになろう、あえて言葉を抑えたのは、女神であり、長姉でもある彼女の矜持でもあった。

……音が、ユグドラシルにただなびく風と葉音が止んだ。

 運命の糸に、そっと鋏の刃を当てるその様を、変わらぬ穏やかな表情で見つめる娘の頬に、不思議とに流れ落ちる雫を--決して悲しい筈がない。心は今も平穏であったのに。

「その涙、私が預かりましょう。われら姉妹が見守る泉とともに」

 そう差し伸べたベルダンディの指が、そっと触れる。
 娘が、礼を返すことはなかった。

 ウルドの鋏がその役割を終えたからだ。

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--エピローグ

 ふぅ……

 掻き消えるように、娘の魂はあるべき人生を迎えにミッドガルドへ戻っていったことだろう。ため息ともとれる息遣いは、3人の女神の、いったい誰のものだったか……

「スクルド」

 ウルドに促されるまでもなく、新しい糸と紡錘を用意するのは末妹の役割だった。先ほどのウルドの御技にも似た仕草で、スクルドは新たな紡錘をその手に出現させた。

 最初の糸をそれに巻く……

カラカラ……

 小気味よく動き始めるその紡錘は、まるで生きているかのように、宙にあって新しい運命を紡ぎ始めた。

「!」
「え、スクルドっ!」

 ウルドと、そしてベルダンディが驚きの、それも驚愕にも似た鋭い声をあげた。

「それは禁忌に触れよう。正気か?」

 あろうことか、今しがたウルドが断ち切ったばかりの紡錘が、そのスクルドの手にあり、今まさに宙で回る新たな紡錘の、その糸にこれまでの娘の人生の糸を絡めはじめたのだ。

 いまだ、輝きを保つその糸が、いっそう鮮やかさを増して再び紡がれる。

「いいのよ。あの娘は、いずれまた違う形であたしたちの前に姿を現すことでしょう。そのとき……

 スクルドの言葉の続きは、ノルンの3姉妹にとっては聞く必要もないことであった。

 なぜなら、
 人の運命を司るのが、彼女たちの仕事であったのだから……


     了

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【あとがき】

 ゲームの中の出来事とはいえ、一度消してしまったキャラクターがありました。冒頭にあるように、後悔はありませんが、ひどく喪失感を覚えたものです。どうやら私は、ゲームであれ、小説であれ、その中に生み出したキャラクターに感情移入するきらいがあるようです。それが、気に入っていた存在であればなおさらでしょう。

 消したキャラの名前は「翔魔 美咲」、美咲の名で皆から慕われていたよい娘でした。

 はからずも、おなじ「ミサキ」の名をもつキャラとして再び生まれたわけですが、その後前世でやり残した夢を一気に駆け抜け、リオン、エスターに続いて転生を果たし、ハイウィザードに生まれ変わりました。

 その過程を、大枠としての「The Night Tail Story」の中で、特にメインとなるエピソード集(「美咲の物語」)に仕立ててみようと考えました。

 「泉のノルン」は、その冒頭に位置し、キャラクター消去のくだりを運命の女神(ノルン)との関わりで表現したものです。

 生まれ変わった美咲(=ミサキ)は他の様々なキャラクターと関わりながら、一度は残念した転生への道を歩むことになります。


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