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TOP>小説おき場>The Night Tail Story>投聖のグレゴリー

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【投聖のグレゴリー】
 かつて「投聖のグレゴリー」の異名をとり、伝説とまで言われたアルケミスト。同じアルケミストとして、彼にあこがれ、弟子入りを志願したジーン=カシムの志と、そして数奇な結末とは……


投聖のグレゴリー

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プロローグ

「そ、それって本当?」
「ふふふ、嘘じゃないあるネ。伝説のアルケミストはノーグの奥に居るあるヨ」

「ノーグかぁ」

  ・
  ・
  ・

 かつて、ミッドガルドで勇名を馳せた1つのパーティがあった。50年前、史上初めてゲフェニアの封印が解かれた時の話だ。壊滅した魔都ゲフェンを尻目に首都プロンティアに押し寄せた幾万ものモンスターの襲撃。
 そのとき篭絡しかかったプロンティア城にあって、アルデバランやモロク、フェイヨンなどからの増援が到着するまでの数時間を、たったひとつのパーティが立ち塞がり、時の王トリスタンⅠ世の篭る王座の間への侵入を許さなかった。
 まさに鉄壁の防御を誇る彼ら3人からなるパーティの名は「鉄(くろがね)の城」。今なお英雄として崇められる伝説のパーティである。

 そのリーダーとしても、また史上最高のアルケミストとしても知られる錬金術師の名はグレゴリー。人呼んで「投聖のグレゴリー」。


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    1

 信頼のおける情報屋ではあるものの、ミスター陳から得られる情報は胡散臭いものが多いとのもっぱらの噂だ。
 たしかに正確な情報をウリにしてはいるものの、それは要点においてその通りで、しかし全容となるとまったく異なる様相を見せることもしばしばだった。

『なんでそれを言ってくれなかったぁああ!!』

 つまり、こんな具合である。

 それはともかく「伝説のアルケミストはノーグの奥に居る」と、そのこと自体は間違いないはずだ。

「つまり、僕だってアルケミストのはしくれということなのさ」

 普段はまったり、ときおり激安露店、あるいは一家の倉庫番と、裏方な仕事ばかりのジーンであったが、珍しくこのときはやる気を見せた。

「弟子にしてもらおう」

 ノーグの第1層、火属性のモンスが跋扈する秘境を前に、ありったけのポーションをカートにしたため、意気を見せた。



    2

「どぅあ~~~~っ!! くるんじゃなぁああい!!」

 意外と、あっさり第1層を抜けたのは行幸であったのだろう、続く第2層では、孤軍奮闘するジーンの悲鳴が鳴り止むことはなかった。

 ジーンとて、多少なりとも戦闘力はある。普通のモンスなら、そして普通の沸きであるならば、自慢のDH隠者サーベルが華麗にソニックブローを放ってくれたことだろう。

 だがしかし、大体にして「普通」の沸きであるはずがない。険しい崖下には、志半ばにして倒れた無数のパーティの骸(むくろ)が今なお無念の叫びをあげていることだろう。ノーグ第2層とはそんな場所なのだ。

「やばっ、ハエが切れた!」

 つまり、モンスと正対するよりも、逃げ回っていた方が遥かに多かったのだ。それも、物量というのは、いずれ枯渇するのがエントロピーの法則でも明らかな事実である。

 ついに追い詰められたジーン。深手を負いながら逃げることも叶わず、朦朧とした意識の内に、ナイトメアの凶顎が今まさに頭上に襲いかかろうとした刹那。

「ポーションピッチャー!」

 たしかに、そう聞こえた。服用することで体力や気力を回復させてくれる各種ポーションを、自分ではなく相手に投げつけることでその対象を回復させるという技は、他でもない、ジーンたちアルケミストにのみ許されたスキルだ。しかし、それはジーン本人の所業ではもちろんなかった。

 自らの生死を確認することなく、ジーンは気を失った。




    3

「うりゃ~~、怒涛のファーマシー!!!!」

 意気込んでみたものの、もう腕が上がらない。実のところ息も絶え絶えだった。

「そりゃそりゃ、まだ半分も終わっとらんぞ、」


 はたして、九死に一生を得たジーンは、結果的に自分の捜し求めた伝説のアルケミストに邂逅することとなった。カートの上で一度は目が覚めたものの、激しい頭痛と、おそらくは生きていたことの安堵で再び気を失ってしまったわけだが。

 はからずも、ジーンは自分が探し求めた伝説のアルケミスト本人によって命を救われたのだ。

 太いカイゼル髭と飾り気のないジュエルクラウン。何よりその眼光の鋭さが他の誰とも見間違うことはないだろうと思われた。投聖のグレゴリーと呼ばれた生きた伝説の主は、しつこく弟子入りを懇願するジーンを、不承不承ではあるがその求めに応じることとなる。



 激しい修行が繰り広げられる。



「師匠ぉ、いきなり1000本ファーマシーって、酷くないですかぁ? はぁはぁ…」
「これしきのことで参るようで、このワシの技を受け継げると思っとるのか! きびきび作れぃ!」
「はぁはぁ、ぐっ、ふぁあ~~ましぃ……。げほげほっ。

 通常は、各都市お抱えの薬師たちの手によってポーションは製造され、公式の販売所にて売り買いされている。しかし彼らアルケミストは、独自の探究心と不屈の努力によって自らの手でポーション、あるいはその他の薬剤、アイテムなどを生成する技術を手に入れた。それが「ファーマシー」と呼ばれるポーション精製法だ。

「ねぇ師匠、ひ、ひとつ聞いていいですか?」

「む、なんじゃ?」

「ど、どうして……、う、アルコール……ばかり?」

「ん? ワシが飲むに決まっとる」

……ドテッ

(も、もうだめ……



    4

 修行は3ヶ月にもおよんだ。そして来る日も来る日もアルコール作りに明け暮れたジーンであった。


「ぐぐぐぐぐっ、ファーマシ~~すーぱーはーどぉおおお!」

「そうじゃ、もっと両手に気を溜めるんじゃ」

--ぴかぁ

「んおっ、や……やったぁあ!」

 今、ジーンの手に新に作成された白ポーションは、通常ではありえない、密かな燐光を放っていた。

「これが、ワシにしか作れなかった、伝説のポーション。その名も『スーパーハード(以下SH)』じゃ。その効果は通常の10倍。どんなPTの危機であっても、その身ひとつで救い出してくれたものじゃ。
 まだまだムラがあるようじゃが、ついにワシの技を受け継ぐものが現れたか(しみじみ)」

「し、師匠ぉ~~」

「じゃがしかし、残念じゃ、極めて残念じゃ」

--ドキッ

 ま、まさか。ようやく作れるようになったというのに、自分にはまだ足りないものが……

「これで修行も終わる。明日から、いったい誰がワシの酒を調達してくれるというんじゃ? あぁ、残念じゃ」

(あ、あのなああああ/涙)



    5

 せっかく身につけた伝説の技だった。使わなければ何の意味もない。プロンティアに戻ったジーンは、ありったけのポーション瓶を使って、ポーションSHを用意した。

 暇そうにしているエスター兄や、焔を誘って乗り込んだのは騎士団だ。

「しばらく見ないと思ったら、戻るなり『狩りに連れていけ』かぁ、やけに嬉しそうだなぁ、ジーン」
「まったくなのだ。ジーン兄ちゃんの方から誘うなんて、珍しいこともあるのだ」

「ふふふ、修行の成果を見せてあげるのさ」

「ふーん、ま、頑張ろうか」
「おーっ(なのだ)」

 ・
 ・

「うあああ、ちょ。なんでこんなところに溜まってるんだぁあ」

「わ、多すぎるのだ」

 ほどなくレイド兄弟をはじめ数組の深淵セットというモンハウの襲われる彼ら3人。普段であれば、ソロでも騎士団ぐらいは闊歩できるエスター(注:この時は転生前)であったが、一人では捌ききれないモンハウには潔く逃げるのも戦術であった。

 しかし、パーティを組んでいる手前、そういうわけにはいかない。

(今だっ)

 先行するエスター、何も考えずに突入する焔の後方で、ジーンは微かな戦慄に身を任せた。すでに疲弊も明らかな兄妹たちのサポートをするのは、プリーストのいないこのパーティにあっては、当然自分の役割であるはずだ。

「さぁ、今こそ修行の成果を見せてやるのさ」

「いけっ、ポーションピッチャーす~ぱ~は~~~どぉ!!!」



    6

 ジーン一行の勇姿も佳境というものの、いったん場所はイズルートのとある古小屋へと変わる。

「いやああ、伝説のクルセイダーにお会いできるなんて、夢のようです。か、感激だなぁ」

 瞳をらんらんと輝かせたクルセのラキは、この老クルセを前にして、感激を隠せずにいた。かの伝説とまで言われたパーティ「鉄の城」のメンバーのひとり、それが目の前にいた。

 通り名を「不動のアキレス」何十匹のモンスに囲まれようと、不動にして堅固。あらゆる攻撃を耐えるとまで言われたものだ。

「ふっ、伝説か……

 同職であるラキの訪問に、半ば厭世的な雰囲気を隠そうともせず、ぶっきらぼうに答える。

「俺は怖かった。だから人生のすべてを精錬に懸けた。ただそれだけだ」

「いやいや、動機はどうあれ、大したものですよ。誰も真似なんてできません」

 「精錬」とは、エルニウム、あるいはオリデオコンと呼ばれる鉱石に秘められた魔力を使って、鎧や兜などを強化することであり、一部の限られた精錬師にのみ可能な技のことをさす。しかし、非常に難しい試みであって、熟練の精錬師であっても必ず成功するとは限らなかった。魔力の反動で、武具そのものが消失してしまうことも、けっして珍しいことではないのだ。

 噂では、総DEF80とも90とも言われた「アキレスの要塞」その過程には、数年にわたってプロンティア中の露店からエルニウムが消えたとも(たぶん誇張であろうが)言われた。まさに人生をかけたといって過言ではあるまい。

「喰えるもんなら、エルニウムにかじりつきたいとも思った。怖かったんだ。だから俺は精錬によって堅固になろうとした。逆にムーバは……

 ムーバとは、「鉄の城」の3人目だ。「陽炎のムーバ」を通り名に持つそのアサシンは、その身に触れることは、たとえ主神オーディンの鋭い眼光でさえ叶わないであろうとまで称された回避の達人だった。

「ムーバはひたすら避けることに人生を懸けた。ハイドにクロキン、バックステップ。両手の運剣を離すことを極端に怯えるやつだった」

「はぁ、怯えですか……

「勘違いしているようだが。俺たち2人はモンスの攻撃なんか屁でもなかったさ。たとて何百匹に囲まれても、怖いなんて思ったことは断じてないっ!」

「そ、そりゃそうでしょう。それだけ堅固だったり、高回避なら…」

(何か様子がおかしい)

 思い出したかのように、ぶるぶる震える目前の老クルセは、ラキが想像していた「不動のアキレス」の、そのどの姿にも当てはまらなかった。

「俺の引退の直接の原因は、歳じゃない」

「はぁ?」

 アキレスは、弱々しく両の手をラキに向かって差し出した。その病的に震える指先を……

「パンチドランカーってやつさ」

「!」



    7

--ポーションピッチャーす~ぱ~は~~~どぉ!!!

 すばらしいコントロールで、ジーンの放ったポーションは、苦戦するエスターと焔に劇的な回復をもたらすはずであった。そう、効果は通常の10倍ともいわれる伝説のポーションなのだ。

--ゴンッ!

「ぐぇ……
「がっ……(なのだ?)」

--どさっ

 せっかく放ったポーションは割れず、その驚異的なスピードと破壊力がエスターおよび焔の後頭部に致命的ともいえるダメージを与えた。

 いったい何が起こったのか想像する間もなく沈黙する兄妹たち。

「な、なんだって!!」

 寸瞬、わけがわからず目が点状態なのは、逆に取り囲んでいるレイド兄弟や深淵の方であったろう。

 震える手でジーンは、手に持つポーションSHを凝視する。

『注意書き:ポーションSHの瓶の強度はダイヤモンドクラスじゃ。使用条件は対象のDEF80以上であること。でないと割れんのじゃ』

「う、うそ~~~っ」

 ・
 ・
 ・


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エピローグ

 その後、無事にプロに帰りついたジーンたち一行。いったいどのような経緯かは余人の知るところではないが、あえて本人らはその件について語ろうとはしなかった。
 ただひとつ、それ以降エスターおよび焔は、むこう1年余にわたってジーンとのパーティを頑なに拒否することとなる。

 追記

 騎士団での戦闘の直後、その同じ場所に足を踏み入れた他のパーティは、想像するどの記憶にも異なる惨状に見(まみ)えることとなった。

「いったい、何があったんだろう?」

 無数に横たわるレイド兄弟、深淵の骸。

 そのどれにも頭部に存在した……信じられないほど巨大な……


 たんこぶ


    了


【あとがき】

 回復剤の入ったポーション瓶を相手に投げることによってその効果を相手に与える……

 これまではアコライトやプリーストといった聖職者によるヒーリング等のスキルでしか補えなかった回復手段のまた別の形、それがアルケミストによるポーションピッチャーです。

 ゲーム中、素直に思いました。

「頭に当たったら痛そう(笑)」

 というわけで、このネタを突き詰めたところに、このエピソードが生まれました。
 派手な魔法などで活躍するエスターなどとは違い、普段は一家の倉庫番、サイフ担当という商人系のジーンは、あまり狩をすることもなく、のほほんと首都であるプロンティアで露店などを開いているだけですが、兄弟姉妹の中では一番の常識人という設定でもあります。

 しかしながら、そんな彼でもなにかしら活躍したいと思うこともあったのでしょう。

 ちなみに、このエピソードで登場したグレゴリー、そしてかつて彼が率いた伝説のパーティー「鉄の城」に関連して、いくつかのエピソードが後々語られることになっています。(あくまで予定なんですけどね)


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